統計検定 1級 過去問 解答/解答例と解説
2015年11月29日 (日) 試験

統計数理 問4 [3]

設問の要約
  • [2] の H0 を尤度比検定するための尤度比統計量とその自由度を求めよ.

  • 表 1 のデータに対して,自由度を求め,P-値は 0.01 より小さいか,答えよ.

  • 必要があれば次の表を用いよ.

    (i,j) (1,2) (1,3) (1,4) (2,3) (2,4) (3,4)
    xij 266 124 66 432 78 205
    log2xijxij+xji 0.062 0.029 0.258 0.084 -0.025 0.066
    (i,j) (2,1) (3,1) (4,1) (3,2) (4,2) (4,3)
    xij 234 117 36 362 82 179
    log2xijxij+xji -0.066 -0.029 -0.348 -0.092 0.025 -0.070
解答例

ここで.対立仮説 H1 の下で,pij の最尤推定値 p^ij を求める.

[2] より,等式制約を含んだラグランジュ関数 L は,

L=logN!i,j=1Ilogxij!    +i,j=1Ixijlogpij    +λ(i,j=1Ipij1)
Lpij で偏微分して 0 とおくと,
Lpij=xii1pii+λ=0
 pij=1λxij
両辺を i,j=1I で和をとると,
i,j=1Ipij=1λi,j=1Ixij
1=1λN
λ=N
よって,
p^ij=xijN
仮説 H0 の下での尤度 L0 は,
L0=N!i,j=1Ixij!i,j=1I(xij+xji2N)xij
仮説 H1 の下での尤度 L1 は,
L1=N!i,j=1Ixij!i,j=1I(xijN)xij
仮説 H0 と仮説 H1 との尤度比 Λ=L0L1 は,
Λ=N!i,j=1Ixij!i,j=1I(xij+xji2N)xijN!i,j=1Ixij!i,j=1I(xijN)xij=i,j=1I(xij+xji2N)xiji,j=1I(xijN)xij=i,j=1I(2xijxij+xji)xij=ij(2xijxij+xji)xij
尤度比統計量 G2 は,
G2=2logΛ=2logij(2xijxij+xji)xij=2ijxijlog2xijxij+xji
自由度は,仮説 H0 の自由度と仮説 H1 の自由度の差である. 仮説 H0 の自由度は,
12I(I+1)
仮説 H1 の自由度は,
I2
であるので,尤度比統計量の自由度は,
I212I(I+1)=12I(I1)

表 1 のデータに対して,自由度は,

4(41)2=6
[3] の表より,
xijlog2xijxij+xji
をそれぞれ求め,すべて足しあわせ,さらに 2 倍することにより対数尤度比統計量を求めることができる. よって,
G2=19.67
ところで,自由度 6 のカイ二乗分布の上側確率 0.01 となるパーセント点は,付表より,
χ0.012(6)=16.81
であるので,
G2>χ0.012(6)
となり,表 1 のデータの P-値は,0.01 よりも小さい.