統計検定 1級 過去問 解答/解答例と解説
2015年11月29日 (日) 試験

統計応用 問3 [3]

設問の要約
  • X1,X2, : 降水量.互いに独立.[1] の指数分布に従う.

  • N : 1年間に起きる降雨の回数.X1,X2, と独立.

    NPo(λ)

  • 年間の降水量 S の分布のモーメント母関数を求めよ.

    S=i=1NXi

  • N=0 のとき S=0 と定義する.

  • 関数 b(x)=1x を使って,S の分布のモーメント母関数を [2]のモーメント母関数のように表現せよ.

  • ψ (>0)θβλ でどのように表されるかも記せ.

解答例

N が与えられているとき, S=i=1NXi はアーラン分布に従う.確率密度関数は,

fSN=n(s)=βnΓ(n)sn1eβs
NPo(λ) であるので,確率関数は,
P(N=n)=λnn!eλ
NX1,X2, の同時確率密度関数は,
f(s,n)=fSN=n(s)P(N=n)=βnΓ(n)sn1eβsλnn!eλ
S のモーメント母関数は,
E[etS]=n=00etsβnΓ(n)sn1eβsλnn!eλds=n=0βnλnn!Γ(n)eλ0sn1e(βt)sds=n=0(βλ)nn!Γ(n)eλΓ(n)(βt)n=eλn=01n!(βλβt)n=eλexp[βλβt]=exp[βλβtλ]=exp[11/λt/(βλ)11/λ]

ところで,[2] の表現を変形すると,

E[etS]=exp[1ψ{b(θ+tψ)b(θ)}]=exp[1ψ{1θ+tψ+1θ}]=exp[1θψtψ2+1θψ]
2式を比較すると,次の関係式を得る.
ψ2=1βλ  ψ=1βλ
θψ=1λ  θ=βλ
よって,E[etS] は,[2] の表現を用いれば,次のようになる.
E[etS]=exp[b(θ+tψ)b(θ)ψ]
ψ=1βλ
θ=βλ
b(x)=1x