統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2017年06月18日 (日) 試験

選択問題及び部分記述問題 問9

問題の要約
  • N : 母集団の大きさ

  • μ : 変量 x の母平均

  • σ2 : 変量 xの母分散

  • n : 標本の大きさ (nN)

  • X¯ : 非復元単純無作為標本による変量 x の標本平均で,μ の推定量

  • X¯の分散

    V[X¯]=NnN11nσ2   (1)

  1. (ア) 〜 (ウ)の記述について,正しいものはどれか.

    (ア)

    有限母集団から母集団の半分の大きさの標本を非復元単純無作為抽出すると,母集団の大きさによらず標本平均の分散はほぼ等しくなる.

    (イ)

    有限母集団から非復元単純無作為抽出された標本平均の分散は,母集団を無限母集団と見なした場合よりも大きくなることはない.

    (ウ)

    有限母集団から復元単純無作為抽出された標本平均の分散は,母集団を無限母集団と見なした場合と等しくなる.

  2. 就業者 : 7270人

    通勤時間(単位: 分)の分散 : 500

    母集団から800人を非復元単純無作為抽出

    V1 : 非復元単純無作為抽出した場合の標本平均の分散

    V2 : 母集団を無限母集団と見なした場合の標本平均の分散

    V1, V2 の値を求めよ.

解答
  1. 答 : ④

    (ア) 誤り

    n=N2 として,(1)に代入すると,

    V[X¯]=NN2N11N2σ2=NN2N12Nσ2=2NNN11Nσ2=1N1σ2
    よって,母集団の分散と等しくならない.

    (イ) 正しい

    母集団を無限母集団とすると,N となるので,

    V[X¯]=1nN11N1nσ2  1nσ2  (N)
    ここで,n1 であることから,
    NnN11
    よって,有限母集団からの標本平均の分散は,母集団を無限母集団と見なした場合よりも大きくなることはない.

    (ウ) 正しい

    有限母集団からの復元単純無作為抽出は,無限母集団からの抽出と見なせるので,標本平均の分散は等しくなる.

  2. 答 : ①

    V1=NnN11nσ2=7270800727011800×500=0.5563
    V2=1nσ2=1800×500=0.6250