統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2016年06月19日 (日) 試験

選択問題及び部分記述問題 問12

問題の要約
  1. (ア),(イ) の確率密度関数のグラフはどれか.

    (ア) 0.5N(0.5, 1.02)+0.5N(0.5, 1.02)

    (イ) 0.3N(1.0, 1.02)+0.7N(2.0, 0.52)

    ※図は省略

  2. 混合モデル : πN(μ1, 1.02)+(1π)N(μ2, 1.02)

    群1 : N(μ1, 1.02)

    群2 : N(μ2, 1.02)

    y1,y2,,yn : 独立な観測値

    π, μ1, μ2 を EM法によって推測する.

    EM法は,適当な初期値から始め,次の2つのステップを交互に行う.

    • E-step:

      π^, μ^1, μ^2 を既知として観測値 yi (i=1,,n) が群1 からの観測値である確率の推定値 γ^i を更新.

    • M-step:

      γ^i (i=1,,n) を重みとしてπ^, μ^1 を更新.

      1γ^i (i=1,,n) を重みとしてμ^2 を更新.

解答
  1. 答 : ①

    (ア)

    0.5N(0.5, 1.02)0.5N(0.5, 1.02) の関数は,x=0 で左右対称であることから,合成すれば単峰性分布となる.よって,グラフは (a) であるとわかる.

    (イ)

    0.3N(1.0, 1.02)0.7N(2.0, 0.52) は対称性のない全く異なった形の関数であることから,合成すれば二峰性分布となる. x=1.0x=2.0 でピークとなり,二つの分布関数にかけている係数が 0.3 と 0.7 であることから,ピークは x=2.0 のときの方が高くなる.よって,グラフは (c) であるとわかる.

  2. 答 : ④

    群1の確率密度関数 fY(y) は,

    fY(y)=12πexp[12(yμ^1)2]
    群2の確率密度関数 gY(y) は,
    gY(y)=12πexp[12(yμ^2)2]
    と書ける.群1からの観測値である確率の推定値 γ^i は,次で求めることができる.
    γ^i=π^fY(yi)π^fY(yi)+(1π^)fY(yi)
    よって,
    γ^i=π^exp[12(yμ^1)2]π^exp[12(yμ^1)2]+(1π^)exp[12(yμ^2)2]

    π^ は,γ^i (i=1,,n) の算術平均で更新する.

    π^=1ni=1nγ^i

    μ^1 は,γ^i を重みとして,yi の重み付け平均で更新する.

    μ^1=1i=1nγ^ii=1nγ^iyi
    同様に,μ^2 は,(1γ^i) を重みとして,yi の重み付け平均で更新する.
    μ^2=1i=1n(1γ^i)i=1n(1γ^i)yi