統計検定 準1級 例題集 解答/解答例と解説

論述問題 問2 [1]

設問の要約
  • 各年度の残差 et=YtY^t を計算したところ,次の図のようになった.

    ※図は省略

  • ρ^ : 1次の自己相関係数 (etet1 の相関係数)

  • DW : とダービンワトソン統計量

    DW=i=230(etet1)2i=130et2

  • ρ^=0.85

  • DW=0.29

  • 回帰モデルの通常の仮定に照らして,このような残差の検討の意味について述べよ.

解答例

回帰モデルでは,「誤差項は自己相関しない」という条件が仮定の1つとしてある.

ρ^=1T1t=2Tetet11nt=1Tet21nt=1Tet12
1ρ^1 であり,自己相関係数が 0 に近いほど自己相関がないことになる.

自己相関がないことを検定する方法として,ダービン・ワトソン統計量がある.

DW=t=2T(etet1)2t=1Tet22(1ρ)
0DW4 であり,DW が 2 に近いほど自己相関がないことになる.

ここで,ρ^=0.85, DW=0.29 であることから,自己相関があるといえる. 残差のグラフを見ても,残差が正の値をとり続ける期間があり,また,負の値をとり続ける期間がある. 当期の残差は前期の残差と相関があるといえる.

誤差項に自己相関があると,回帰係数の推定量は最良線形不偏推定量とならなず,推定量の分散を過小に推定するなどの問題が生じる.自己相関を取り除くための工夫が必要である.