統計検定 準1級 例題集 解答/解答例と解説
選択問題及び部分記述問題 問15
問題の要約
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ある路線の徒歩圏内にある一軒家の価格広告を利用してパス解析を行った.
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検定統計量 : 「 : パス係数が 0 である」対する 検定の統計量
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確率 : -値,「***」は -値が 0.001 未満
推定値 | 標準誤差 | 検定統計量 | 確率 | |
建物面積<--- 部屋数 | 13.186 | 2.942 | 4.483 | *** |
建物面積<--- 土地面積 | 0.446 | 0.069 | 6.467 | *** |
価格<--- 築年数 | -52.317 | 13.540 | -3.864 | *** |
価格<--- 新宿から | -44.407 | 6.763 | -6.566 | *** |
価格<--- 土地面積 | 10.395 | 2.769 | 3.754 | *** |
価格<--- 部屋数 | -214.767 | 105.267 | -2.040 | .041 |
価格<--- 建物面積 | 17.763 | 3.926 | 4.525 | *** |
価格<--- 徒歩 | -33.918 | 23.793 | -1.426 | .154 |
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この結果について,間違いに気づき修正した.その間違いと修正方法を述べよ.
※選択肢は省略
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[1] で示した間違いを正し,次の出力結果を得た.パス図を作成せよ.
推定値 標準誤差 検定統計量 確率 建物面積<--- 土地面積 .612 .076 8.014 *** 価格<--- 築年数 -55.921 14.043 -3.982 *** 価格<--- 新宿から -43.829 7.014 -6.249 *** 価格<--- 土地面積 8.922 3.164 2.820 .005 価格<--- 建物面積 15.725 3.676 4.278 *** 部屋数<--- 建物面積 .017 .003 6.560 ***
解答
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答 : ①
①: 正しい.建物面積から部屋数を考えるので,部屋数と建物面積の因果関係を逆にして考える.
②: 「標準誤差が他との比較で大きすぎる」とあるが,数値をそのまま比較するのは誤り.標準誤差の比較をするなら,推定値に対する標準誤差の割合で考える.
③: 徒歩から他の変数を介して価格に間接的に影響していることが考えられるので, 値だけで削除することを判断するのは誤り.
④: 「住居者の好み」が部屋数を削除すると判断するのは誤り.
⑤: 「価格への直接のパスが多すぎる」という理由で変数を削除するのは誤り.
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パス解析とは,変数間の因果関係を分析する方法である. 重回帰分析では, 個の説明変数から目的変数への一方向の因果関係を考えていたが,説明変数間の関係は把握しない. この課題を解決する方法の一つとしてパス解析がある.
パス解析では,変数を観測変数と潜在変数に分けて考える.観測変数は直接観測する変数である.また,潜在変数は仮定した変数である.観測変数は四角で囲み,潜在変数は丸で囲む.変数 A から変数 B へ矢印を結んだとき,変数 B へは誤差変数を含める.
問題にある分析結果から,変数と変数を結ぶ矢印の方向は決まる.あとは上述のように四角と丸で変数を囲んみ,誤差変数を付け加えることによりパス図が完成させることができる.
※図は,統計検定 準1級 例題集の回答例より引用