統計検定 準1級 例題集 解答/解答例と解説

選択問題及び部分記述問題 問10

問題の要約
  • W(t), t0 : 標準ブラウン運動

  • W(1)=1.0 が与えられた下での W(0.5) の条件つき期待値を求めよ.

  • W(1)=1.0 が与えられた下での W(0.5) の条件つき分散を求めよ.

解答

答 : ④

ブラウン運動の数学的に厳密なモデルとして,ウィーナー過程と呼ばれる連続型確率過程がある. WtW(t) と書くことにし,ブラウン運動(ウィーナー過程)の定義は次の通りである.

  1. W0=0

  2. Wt は連続である.

  3. Wt は独立増分を持つ.すなわち,0stst であるならば,WtWsWtWs とが独立な確率変数となる.

  4. 0s<t なる任意の s, t に対して,WtWs は正規分布 N(0,σ2(ts)) に従う.

また,

Wt  N(0,σ2t)
E[Wt]=0
V[Wt]=σ2t
Cov[Ws,Wt]=σ2min{s,t}
である.ただし,標準ブラウン運動では,σ2=1 である.

ところで,

(X,Y)  N((μXμY),(σX2σXYσXYσY2))
のとき,
YX  N(μY+σXYσX2(XμX), σY2σXY2σX2)
であった.

(W1,W0.5)  N((00),(10.50.50.5))
であるから,
W0.5W1  N(0+0.51(W10), 0.50.521) N(W12, 0.25)
ここで,W1=1.0 とすると,
W0.5W1=1.0  N(0.5, 0.25)