第6講 各種データ解析法

因子分析

因子軸の回転

因子軸の回転による解釈は,分析者の主観に依存する.そこで,いくつかの機械的な回転方法が提案されているが, ここでは,直交回転のヴァリマックス法を説明する.直交回転とは,回転後の因子も直交している回転のことである.

A=(ajk) : 回転前の因子負荷量

B=(bjk) : 回転後の因子負荷量

T=(tjk) : 回転行列

(b11b1mbp1bpm)=(a11a1map1apm)(t11t1mtp1tpm)
回転後の因子負荷行列 B の第 k 列において,因子負荷量の bjk2 の分散 σk2 を求めると,
σk2=V[bk2]=E[(bk2)2](E[bk2])2=1pj=1p(bjk2)2(1pj=1pbjk2)2
σk2 を大きくすることは,因子負荷量の絶対値が 0 に近いものと 0 から遠いものと分かれることを意味する. すべての k=1,,m に対して合計すると次のようになる.
σ2=k=1mσk2=k=1m{1pj=1p(bjk2)2(1pj=1pbjk2)2}
σ2 を最大化するような回転方法を素ヴァリマックス法という. さらに,共通性 hj2=σjjdj2 で因子負荷量を補正すると,
V=k=1m{1pj=1p(bjk2hj2)2(1pj=1pbjk2hj2)2}
V を最大化するような回転方法を基準ヴァリマックス法という.単にヴァリマックス法といえば,基準ヴァリマックス法を指す.

V を最大化する回転角は,反復的なアルゴリズムによって求めるが,ここでは割愛する.