第4講 統計的検定

十分統計量を用いた検定

十分統計量を T,任意の検定関数を δ(X) とする. ラオ・ブラックウェルの定理のように,T を与えたときの δ(X) の条件付期待値を考える.

δ(T)=E[δ(X)T]
T は十分統計量なので,δ(T) も統計量である. δ(X)=0 or 1 なので, 条件付期待値 δ(T) は,
0δ(T)1
である.ここで,0<δ(T)<1 (δ(T)0, 1) のときは,確率 δ(T)H0 を棄却することにする. ここで,任意の θ に対して,
E[δ(T)]=E[E[δ(X)T)]]=E[δ(X)]
これは,任意の検定関数 δ(X) に対し,同等の十分統計量の検定関数 δ(T) が存在し,十分統計量のみを考えればよいことになる.