統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2018年06月17日 (日) 試験

選択問題及び部分記述問題 問13

問題の要約
  • 目標分布 : 混合正規分布

    14N(0, 1)+34N(6, 1)

  • 酔歩連鎖によるメトロポリス・ヘイスティングス法を用いて,乱数 x を 10000 個発生させる

Step 1
  • 初期値 x(0) を設定する

  • t0

  • α>0 をひとつ定める

Step 2

ϵU(a, a)

y=x(t)+ϵ

Step 3
  • uU(0, 1)

    x(t+1)={y,uα(x(t), y)x(t),それ以外

  • α(x(t), y) : 採択確率 (C)

Step 4

tt+1

Step 5
  • t1000 のとき,x(t) は出力しない

  • 1000<t11000 のとき,x(t)t1000 番目の乱数として出力する

Step 6
  • t=11000 なら終了

  • それ以外なら Step 2 に戻る

    • π(x) : 目標分布の確率密度関数

    • 採択確率 α(x(t), y) :

      α(x(t), y)=min(1, π(y)π(x(t)))

    • ϕ() : 標準正規分布の確率密度関数

    • Step 3 の採択確率 (C) を ϕ() を用いて表わせ

    • Step 1 で初期値を x(0)=6

    • 図 (ア) 〜 (ウ) は,a=0.1, 1, 6 のいずれかに設定したときの 10000 個の乱数 (図は省略)

    • (ア) 〜 (ウ) に対応する a の値はそれぞれいくつか,理由も含めて述べよ

  1. Step 5 で,x(1), , x(1000) を出力に加えない理由を説明せよ

解答
  1. 答 :

    N(0, 1) の確率密度関数は,ϕ(x)N(6, 1) の確率密度関数は,ϕ(x) を右方向へ 6 平行移動させたものであるから,ϕ(x6) となる.よって,目標分布の確率密度関数 π(x) は,

    π(x)=14ϕ(x)+34ϕ(x6)
    よって,採択確率 α(x(t), y) は,
    α(x(t), y)=min(1, 14ϕ(y)+34ϕ(y6)14ϕ(x(t))+34ϕ(x(t)6))

  2. 答 : (ア) a=1,(イ) a=6,(ウ) a=0.1

    ※略解より抜粋

    (根拠)

    ステップ幅が小さいほど,右の山に推移しにくくなる.標準偏差が 1,期待値の差が 6 であることからも a = 0.1,1,6 と大きくなるにつれて安定度が増すと考えられるから.

  3. 答 : ※略解より抜粋

    繰り返し数が少ない段階では,初期値の影響を受けるため.